台湾紀州庵周年記念イベント総括
- hero grapple
- 1月1日
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更新日:2 日前
去る2025年11月15日、和歌山市と友好関係にある台北市で開催された「紀州庵周年イベント」にて、合氣道の紹介と演武を行いました。しかも、対象は、台湾の文化人の方々で、合氣道を全く知らない方々です。合氣道関係者だけが集まる演武会とは全く異なる状況での演武でした。その際の解説内容をもとに、合氣道の文化的背景や技の真意についてわかりやすくまとめました。
1. なぜ「不自然な動き」を稽古するのか?
合氣道を初めて見る方にとって、その動きは不思議に映るかもしれません。「なぜわざわざ座って技をするのか?」「なぜ手首を掴むのか?」といった疑問に対し、私たちは武士の生活様式と刀の文化という視点から解説しました。
座り技の意義(膝行): 伝統的な日本の建物は天井が低く、生活の基本は「座ること」でした。武士が正座で対峙している際に斬りかかられた場合、最小限の動きで相手を制するために必要なのが、座ったまま動く**「膝行(しっこう)」**という動きです。
手首を掴む理由: 侍の武器である刀を「抜かせない」ために、相手は腕を止めようとして手首を掴みます。掴まれた側は、その制限された状態からでも対処できるように技を練り上げるのです。
2. 「礼」に込められた究極の人生哲学
武道は「礼に始まり礼に終わる」と言われますが、これは単なる挨拶ではありません。
武士道の指南書『葉隠』にある「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉は、死を軽んじるものではなく、「死」があるからこそ、殺し殺されるかもしれない相手(生)を敬い、自分をも敬うという現実主義的な哲学です。このシンプルな礼の動作には、**「今この一瞬を価値高く生きる」**という日本人の精神が凝縮されています。
3. 合氣道の技:関節技と「入り身」の理合
合氣道の技は、相手を痛めつけることではなく、**「制すること」**を目的としています。
人体の仕組みに則った関節技: 例えば「二教」は腕が曲がる方向を制限し、「三教」は捻る方向を制限します。無理に逆関節を極めるのではなく、関節の自由度を一時的に奪うことで、相手を無力化します。
勇気の一歩「入り身」: 合氣道において最も重要なのは、相手の攻撃に対して一歩前へ出る**「入り身」**です。宮本武蔵が「切り結ぶ 太刀の下こそ 地獄なれ 踏み込みいれば ここは極楽」と説いたように、恐怖に打ち勝ち、勇気を持って一歩踏み込むことで、自ずと有利な位置へと身体を移動させることができます。
4. 演武を終えて
台湾での演武を通じて、合氣道を知らない方々にその文化的背景を伝えることは、私自身にとっても大きな学びとなりました。
不利な状況下でも平静を保ち、一歩踏み込む。そこから自然に技が生まれてくる境地こそが**「武産(たけむす)」**であると私たちは理解しています。今回の経験で得た満足感と、まだまだ未熟であるという謙虚な気持ちを糧に、これからも「伝える」努力を続けてまいります。

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